日本でも年々人気が高まっているハロウィン。仮装やハロウィンパーティーが盛り上がりを見せる一方で、ハロウィン限定のお菓子やグッズが店頭で目を引くようになりました。日本ではハロウィンは大規模な仮装行事として知られていますが、その根底にある本来の意味についてご存知ですか？
この記事を通して、ハロウィンのもう一つの側面をご紹介します。どんな日なのか、そして日本での意味合いは何か、詳しく見ていきましょう。
日本におけるハロウィンの位置づけ—大晦日とお盆
ハロウィンの起源は、アイルランドの古代ケルトの「サウィン祭」に遡ります。この時期は10月31日をもって夏の終わり、11月1日から冬の始まりとされていました。季節の変わり目には現世と霊界の境界が曖昧になり、先祖が家族のもとへ戻ると信じられていたのです。これは、日本で言う大晦日とお盆が一緒になったような状態です。
「盆と正月が一度に来た」とよく言いますが、ハロウィンもそのような時期でした。ただし、善良な霊だけでなく悪霊や魔物が出現し、作物を荒らしたり災いをもたらすとされていました。
そのため、人々は自分たちが魔物の一員であると思わせる仮装をして、恐ろしい姿でこれを撃退する風習がありました。この習慣がハロウィンの仮装の起源とされています。日本では可愛いキャラクターの仮装が流行っていますが、アメリカでは魔除けの目的を残した怖い仮装をする人もいます。
日本の伝統的な厄除け：節分の豆まき
ハロウィンにおいては、幽霊の仮装をして悪霊を払う風習がありますが、日本にも似たような文化が存在しています。それは、鬼を追い払う「節分の豆まき」です。旧暦では立春が年の始まりとされ、その前日の節分は年の終わりを意味します。この時退治される「鬼」とは、疾病や不運などの災いの象徴です。
昔の人々は、科学技術が発展していないために、原因不明の病気が恐怖の対象となりました。そのため、災いの原因を「鬼」として具体化し、「鬼退治」で問題解決を図ったのです。豆を使うのは、「魔を滅する」という言葉の響きから来ており、「魔滅（まめ）で鬼を退治する」という意味が込められています。この豆まきは災いを払い清々しい新年を迎えるための儀式とされ、人々が季節の変わり目に体調を崩しやすいことから、このような文化が生まれました。
古代ケルト人と日本人が、地理的に離れていながら似たような文化を持っていたと考えると、人間の共通の心理が見えてきます。以前はハロウィンを大晦日とお盆に例えましたが、節分の豆まきとの比較がもっと適切かもしれません。
ハロウィンの名前の由来
ハロウィンという言葉は、「諸聖人の日の前夜祭（All Hallows Evening）」から来ています。諸聖人の日は11月1日で、キリスト教の祝日です。
この日はキリスト教の殉教者や聖人を讃えるために設けられたものです。
多くの聖人を一度に祝うためにこの日が選ばれ、「All Saints Day」の前夜、つまり「All Hallows Evening」が時間の経過と共に「Halloween」という言葉に短縮されました。
ここで言う「Hallows」は「聖人（Saints）」の古称です。
ハロウィンのキリスト教化について
ハロウィンはもともと古代ケルトのドゥルイド教に起源を持つ伝統ですが、現在の名称はキリスト教の影響を受けています。
サウィン祭として知られるこの祭りは、アイルランドの移民によりアメリカへと伝えられました。当時のアメリカ社会はキリスト教が支配的で、異教の信仰や行事に対しては厳しい制限がありました。
多数派のキリスト教徒たちは、サウィン祭をキリスト教の「諸聖人の日」に取り入れることで、異教の祭りを取り込みました。
このように、異教の祭りがキリスト教の名前で行われることは他にも例があります。ハロウィンは楽しいイベントとして親しまれていますが、その背後には宗教や文化の複雑な絡み合いがあります。
ハロウィンの起源と日本での意味【まとめ】
日本でハロウィンは仮装や楽しみのイベントとして広く認識されていますが、その根源はアイルランドの古代ケルトのサウィン祭にあります。
この祭りでは、霊や魔物が活動的になるとされる時期に仮装をして彼らを避ける目的がありました。
日本では、このハロウィンは大晦日やお盆のような年中行事と似た位置付けで、節分の豆まきにも似た意味を持ち合わせています。ただ楽しむだけでなく、魔除けの意味を込めた恐ろしい仮装を試すのも面白いでしょう。
ただし、仮装がリアルで怖すぎると、先祖の霊も驚いてしまうかもしれません。そうなった場合は、多めにお菓子を用意して祖先の霊を慰める工夫をしましょう。
