手作りジャムをたくさん作ったとき、気になるのはその保存期間ですよね。
いちご、オレンジピール、ブルーベリー、リンゴ、アプリコット、プラムといった様々なフルーツで作るジャムは、それぞれ独特の味わいを持っています。
これらのジャムの保存期間や方法は、果物の種類やジャムのタイプによって異なるのでしょうか?
それぞれのジャムの適切な保存期間について調べてみました。
長期保存が可能なジャムのレシピをお探しの方は、ぜひお読みください。
手作りジャムの適切な保存期間とは?果物別の糖度に注目!
手作りジャムの保存期間は、使用する果物の量や、それに対する砂糖の割合によって大きく変わります。
砂糖の割合が高く糖度が濃いジャムほど、保存性が良くなります。
ここでは糖度別の手作りジャムの保存期間をご紹介します。
- 瓶に詰めて常温保存:6ヶ月~1年(開封後は冷蔵保存で最大2週間)
- タッパーで冷蔵保存:約2週間
- 瓶に詰めて常温保存:2~3ヶ月(開封後は冷蔵保存で1週間~10日)
- タッパーで冷蔵保存:1週間~10日
健康志向の高まりとともに低糖度ジャムが人気ですが、砂糖の割合が低いと保存期間も短くなります。
糖度を抑えたジャムは味わい深いですが、消費期限を守ることが大切です。
では、なぜ糖度が高いジャムが長持ちするのでしょうか?
果物が腐る際、水分量が増えます。
これはカビや細菌の増殖を示しています。
カビや細菌は水分を栄養源として活動しますが、水分が少なければその活動は制限されます。
ここで砂糖の役割が大きいのです。
砂糖は水分を吸収し、固定します。
つまり、砂糖が果物の水分をしっかり保持することで、細菌の活動を抑え、ジャムの保存期間を延ばせるのです。
さらに、ジャムを瓶に密封して保存することで、殺菌と脱気(空気を取り除く)が行われ、保存性が高まります。
手作りジャムの保存期間は、砂糖の配合比率によって大きく変わるということを覚えておきましょう。
果物別の特性やジャム作りのポイント
手作りジャム作りの初心者向けに、果物別の特性やジャム作りのポイントも簡単にまとめてみました。
今回ご紹介する果物や食材は、以下の8種類です。
- いちごジャム
- マーマレード
- ブルーベリージャム
- りんごジャム
- あんずジャム
- 柚子ジャム
- 生姜ジャム
- 梨ジャム
長持ちするジャムを作る際に、ぜひ参考にしてみてください。
いちごジャムの魅力とおすすめの作り方(ベストシーズン:2月~4月)
ジャムの中でも特に人気の高いのが、いちごジャムですね。
いちごは12月頃から店頭に並びますが、一番甘くて美味しいのは春先、2月から4月の期間です。
いちごに含まれる食物繊維やペクチンは、腸内環境を整えたり、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
その鮮やかな赤色は、アントシアニンというポリフェノールの一種が豊富に含まれているためです。
アントシアニンは強い抗酸化作用を持ち、老化予防や病気の予防、美肌効果なども期待でき、特に女性に嬉しい成分です。
ジャム作りには、春先に出回る小粒で甘いいちごが最適です。
また、いちごの果実酒を作った後のいちごもジャムに変えることができ、軽くさっぱりとした味わいになります。
マーマレードの作り方(旬の時期:柑橘類によって異なる)
マーマレードは、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、みかんなど、柑橘類の皮と果肉を使って作るジャムです。
マーマレードの特徴は、苦味と清涼感のある香りと甘さが絶妙にバランスしていることです。
スーパーでは一年中、季節ごとにさまざまな柑橘類が並びます。
旬の時期のオレンジ、夏みかん、いよかん、ブンタンなどを選んで作るのがおすすめです。
柑橘類はビタミンが豊富で、肌の調子を整え、血流を改善し、コレステロール値を下げる効果があります。
皮に含まれるヘスペリジンやβ‐クリプトキサンチンには、がん予防や骨粗しょう症の予防効果があるとされています。
柑橘系の果物は免疫力を高め、風邪などの一般的な病気の予防にも役立ちます。
皮の処理を誤ると、苦味が強いマーマレードになってしまうので注意しましょう。
ブルーベリージャムの最適な季節(最盛期:6月~8月)
甘酸っぱく香り高いブルーベリーが最もおいしいのは、初夏の季節です。
ブルーベリーの特徴的な紫色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンによるものです。
このアントシアニンには、目の健康に良い効果があり、特に眼精疲労やドライアイの緩和に役立ちます。
さらに、ブルーベリーには亜鉛やマンガンが豊富に含まれており、これらは皮膚や髪の健康維持、強い骨格や体を作るのに必要なミネラルです。
ブルーベリージャムを作る際のポイントは、過度な加熱を避けること。
長時間加熱すると皮が硬くなり、食感が損なわれる恐れがあるため、適切にアクを取りながら慎重に作りましょう。
りんごジャムの季節(旬の時期:10月~12月)
りんごが最も美味しいのは秋から冬にかけての季節です。
りんごを加熱すると、食物繊維であるペクチンの量が約6倍~9倍に増えるとされています。
ペクチンは整腸作用があり、便秘の改善にも効果があります。
また、りんごの皮には血行を改善するりんごポリフェノールが豊富で、血圧上昇の抑制や動脈硬化予防にも役立ちます。
りんごジャムを作る際は、栄養価の高い皮も細かく切って使うことで、香り豊かで鮮やかな仕上がりになります。
あんずジャムの季節(旬の時期:6月~7月)
あんずジャムは、お菓子の艶出しや鶏肉などの料理にも合い、さまざまな用途に使える万能ジャム。
あんずの旬は短く、約1ヶ月ほどです。
あんずにはβ‐カロテンやクエン酸が豊富に含まれており、がん予防、整腸作用、疲労や肩こり、腰痛の緩和に効果が期待されます。
あんずの種は漢方でも「杏仁」として知られ、感染症予防や咳を抑える効果があります。
柚子ジャムの作り方(旬の時期:10月~12月)
冬至に柚子湯を楽しむ家庭も多いですが、柚子はこの時期が旬です。
酸味が強く生食には向かないものの、果肉や果皮にはビタミンC、β‐カロテン、ヘスペリジンといった栄養素が豊富に含まれています。
これらの栄養素は免疫力の向上、疲労回復、感染症の予防に効果的です。
さらに、美肌や冷え性の予防、むくみ解消にも役立ちます。
柚子ジャムを作る際は、白い部分を丁寧に取り除き、細かく切ることが重要です。
煮込む前に一度茹でこぼすと、苦味を抑えることができます。
生姜ジャムの作り方(旬の時期:新生姜6月~8月、根生姜9月~10月)
果物ではありませんが、生姜でも美味しいジャムが作れます。
生姜ジャムを作る時は、すりおろして滑らかで柔らかい食感に仕上げます。
スーパーで年間を通して見かけますが、新生姜の旬は初夏で、白い色が特徴です。
根生姜の旬は秋口で、茶色の皮が特徴的です。
生姜は漢方薬にも使われる健康食品で、ジンゲロールという成分が強い殺菌力を持ち、感染症の細菌に効果的です。
加熱するとショウガオールに変わり、血行促進や冷え性の予防、血液の流れを良くし、胃腸の調子を整える効果があります。
また、抗炎症作用や鎮痛作用により、風邪の症状の緩和にも役立ちます。
梨ジャムの作り方(旬の時期:8月~10月)
夏から秋にかけて旬を迎えるのがジューシーな梨です。
他の果物と比べてペクチンが少ない梨は、ジャムにすると比較的サラッとした仕上がりになります。
梨の果汁に含まれるリンゴ酸やクエン酸は、疲労回復に効果的です。
夏バテ防止にも適している梨ですが、ソルビトールという成分が呼吸器系の炎症を抑え、風邪の咳や痰の緩和、解熱効果に役立ちます。
自家製ジャムの保存法と期間
自家製ジャムを美味しく長く楽しむためには、正しい保存方法が大切です。
以下の3種類の保存方法別に、保存方法の詳細と期限をご紹介していきます。
- 冷凍保存
- 冷蔵保存
- 常温保存
保存方法によってジャムの品質や保存期間が変わるので、ポイントをしっかり押さえましょう。
ジャムの冷凍保存方法と期限
ジャムを冷凍保存する際は、小分けにして保存するのがおすすめです。
1回分ずつ使えるように、少量ずつラップで包んでから、ジップロック袋などの保存袋に入れ、空気を抜いてから密封してください。
ジップロックに直接ジャムを入れる場合は、臭い移りを防ぐために袋を二重にすると良いでしょう。
適切に冷凍すれば、約1年間保存することが可能です。
ただし、一度解凍したジャムは再冷凍しないようにしましょう。
瓶詰めジャムをそのまま冷凍することもできますが、多量に入れすぎると瓶が割れる可能性があるので注意が必要です。
開封したジャムの冷蔵保存法と期限
開封したジャムは、冷蔵庫で保存し、2週間以内に使い切ることが望ましいです。
ジャムが空気に触れる時間を最小限にし、瓶の蓋はしっかり閉めてください。
ジャムを取り出す際は、毎回清潔なヘラやスプーンを使い、雑菌の付着や劣化を防ぎましょう。
ジャムの常温保存と期限
自家製ジャムを常温で保存する場合、清潔で消毒された容器を使用し、空気を抜いて完全に密閉することが重要です。
脱気と密封を行うことで、菌の繁殖を防ぎ、長期間の保存が可能になります。
密閉したジャムは、常温で半年から1年間保存することができます。
保存する際は、直射日光を避け、風通しの良い暗所に保管してください。
自家製ジャム保存に最適な容器の選び方
自家製ジャムを保存するには、しっかり密閉できる瓶が最適です。
ジャム用の新しい瓶を選ぶ際には、完全密閉できるかどうかをラベルで確認しましょう。
100円ショップで手に入る瓶も便利ですが、完全密閉型でないことが多いので注意が必要です。
長期保存を考える場合は、しっかり密封できる瓶を選ぶことが大切です。
使い終わった市販のジャム瓶を再利用する場合も、フタがきちんと閉まるものを選ぶと良いでしょう。
自家製ジャム用瓶の殺菌・消毒・脱気方法
続いて、自家製ジャムの長期保存に欠かせない瓶の殺菌・消毒と脱気の方法を紹介します。
煮沸消毒の準備と手順は以下の通りです。
- 瓶とフタを食器用洗剤できれいに洗います。
- 大きめの鍋に清潔な布巾を敷き、瓶が沈むほどの水を入れます。
- 鍋に瓶とフタを入れ、水から沸騰させます。(熱湯に直接入れると瓶が割れる恐れがあるため)
- 沸騰したら5分間そのまま煮沸します。
- トングなどを使って瓶とフタを取り出し、清潔な布巾の上で逆さまにして完全に乾かします。(残った水分が雑菌の原因になるため)
瓶詰めと脱気の準備と手順は以下の通りです。
- 煮沸消毒した後、瓶が冷めていたらお湯で温め、水気を拭き取ります。
- 熱いジャムを瓶に入れ、隙間なく詰めます。(空気が入らないように注意)
- 瓶の9割程度までジャムを入れ、フタをして1分待ちます。
- フタを一瞬ゆるめて脱気し(「プシュッ」と音がしたら成功)、すぐに再び締めます。
さらに煮沸消毒をする場合は、瓶を鍋に戻し、水に浸して20分煮沸します。
煮沸後は常温に冷ましてから冷蔵庫に入れます。
高温の瓶を扱う際は軍手などを使ってやけどに注意してください。
自家製ジャムを作るのに最適な季節とその理由
自家製ジャムを美味しく作るためには、それぞれの果物が旬を迎える時期に合わせることが大切です。
例えば、春にはいちごや梅、初夏にはブルーベリーやさくらんぼ、夏はあんずや桃、秋はぶどうや梨、冬はりんごや柚子・みかんが最適です。
これらの果物は旬の季節にはスーパーで手頃な価格で購入でき、ジャム作りに最適です。
自家製ジャムの魅力は、季節ごとに新鮮な果物の味わいを存分に楽しめることにあります。
しかし、加熱することでビタミンCや葉酸などの栄養素が減少することもあります。
それでも、食物繊維やポリフェノールの量は変わらず、これらは消化を助け、活性酸素から体を守る効果があります。
さらに、ジャムには生の果物では摂れない「メラノイジン」という成分が含まれています。
これはジャム作りの過程でアミノ酸と糖が結合して生じ、強力な抗酸化作用を持っています。
ストレスが多い人や喫煙者、添加物を多く摂る人には特におすすめの栄養素です。
ジャムはその美味しさだけでなく、栄養価の高さも魅力の一つです。
まとめ:手作りジャムの保存期間と種類別の特性
手作りジャムは添加物なしで、好みの甘さや風味に自由に調整できるのが魅力です。
ジャムはパンに塗るだけでなく、ヨーグルトや紅茶に加えるなど多様な楽しみ方があります。
糖度が50%以上の高糖度ジャムは保存性が高く、適切な煮沸消毒、脱気、密閉保存により半年から1年の長期保存が可能です。
一方、低糖度のジャムは早めに使い切る必要がありますが、栄養豊富で健康的な味わいが楽しめます。
自家製ジャムは市販品にはない新鮮さや、自分好みの調整が可能です。
適切な保存方法と期間を守り、季節の果物の美味しさを詰め込んだジャムを楽しんでみてください。